2005年06月01日

「マレー蘭印紀行」


もっぱら読書は文庫本。

好きな作家さんは単行本で欲しいのですが、基本的に読書は電車の中なので、どうしても文庫を買う機会が増えてしまいます。

最近の趣向は「旅行記」です。


−読了本−

「マレー蘭印紀行」

金子光晴


やっっと、金子光晴の本を読破しました。(漢字が難しくてなかなか頭に入ってこなかった一冊だったのです…)

「旅行記の方法は、自然を中心とし、自然の描写のなかに人事を織込むようにした。幸いに、熱帯地の陰暗な自然の寂寞な性格が読者諸君に迫ることができたら、この旅行記の意図は先ず成功というべきである」(著者後書きより)

昭和になって間もないころのシンガポール、マレー半島、ジャワ、スマトラを廻る放浪の旅。

毒々しいまでの自然の描き方は、ジャングルの生き物や植物の息遣い、そして湿った空気の濃い匂いまでもが感じられるほどです。

この本のなかに描かれた「珊瑚島」という一篇は、珊瑚礁でできた、人間生活にとって何の係わり合いもない無人の島の、悲しいほどに美しい島の様子が描かれています。この一篇を読むだけでも、この本を手にとった価値があるのではないかと思います。

これほどまでに、その土地の景色や空気がイメージのなかで広がった本は今まで出会ったことがありません。詩人金子光晴だからこそ、できる技なのでしょうか…

ぜひ、ゆったりと時間があるとき、一語一語を大切に読んでもらいたい本です。
★★★★★





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posted by maa at 17:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読了
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